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米アパレル業界の決算概観:アンダーアーマー、ヘインズブランズ、ラルフローレンetc

米アパレル業界の12月決算は市場コンセンサスを下回る低調な数字が相次ぎ、株価も著しく下落しています。決算発表により大きく下落した代表的な銘柄は下記の通りです。

 

Under Armour:29%安(上場来安値)

Hanesbrands:16%安(4年ぶり安値)

Deckers Outdoor:16%安(1年ぶり安値)

Ralph Lauren:12%安(7年ぶり安値)

 

また、高級ブランドのMichel Korsも今のところPre-Marketで7.7%安です。

 

各銘柄について簡単にコメントします。(本当は一つずつ細かく見て行きたいのですが、時間がないので…)

アンダーアーマー:株価下落の要因は成長減速と棚卸資産の増加。来期減益予想。PER(TTM)40倍はまだ非常に割高。6億ドルの発行済み社債はS&P格付けBB+のジャンク級に転落。

 

ヘインズブランズ:買収効果により増収増益だがオーガニックのインナーウェア事業は減収減益。来期予想も成長余力ほとんどなく厳しい。来期予想PER10倍を切っており、株主還元に積極的なことから成長余地がなくとも投資妙味あり。

 

デッカーズ・アウトドア:ホリデーシーズンに大幅値引きを行ったにも関わらず売上低調、前年4Q比75%減益。羊毛ブーツが主力のためホリデーシーズンの減益は大打撃。来期減収予想。

 

ラルフローレン:CEOが取締役会と対立し突然の辞任。来期二桁減益予想。ブランド魅力落ちておりマージン率減少。PER(TTM)32倍は割高。

 

アパレル業界全体の趨勢について考えます。

 

未だにアパレル業界の主戦場はBrick-and-Mortarと呼ばれる伝統的な実店舗であり、ホリデーシーズンにおけるアパレル業界の不調は小売業界の不調と相関しています。

各ブランドはオンライン販売に力を入れていますが、各ブランドごとに影響力のあるECサイトを作り上げるのは困難で、最も成長の果実を手にしているのはアマゾンのような強力な全方位型ECサイトや、スタートトゥデイのような総合ファッションECサイトです。

 

また、若者に広がる深刻なブランド離れもアパレル業界の低迷の理由の一つです。前にテレビで、ラコステのワニが書かれた服にワッペンを貼って隠すアメリカの若者が報道されていました。

名前は忘れましたが、GAPのようにロゴを胸にデカデカと書いた、アメリカのティーン向けブランドがこの前破綻していました。また無印良品ユニクロといった、主張することを拒否するようなブランドが世界的に人気です。伝統的なアパレルブランドが持っていたmoatが年々力を失っているように感じます。(例外はNIKEくらいでしょうか)

 

米下院が打ち出している国境税調整もアパレル業界や小売業界の懸念事項の一つです。(下院議長の名前からライアン・ルールと呼ばれています)

海外からの輸入品に対して20%の関税をかける国境税調整は、東南アジアの人件費が安い国で生産し、米国内の小売業者に販売する業態が一般的であるアパレル業界に、短期的に深刻な打撃を与えるはずです。アパレル株や小売株の下落にはこの政策的要因も関係しています。

 

以上のような理由により、現在のところ、アパレル業界の未来は極めて暗いです。ただし、市場の急速な歪みにより、中長期的な投資への魅力が生まれていることも事実です。

(個人的で無責任なレーティングを言えば、HanesbrandsはHold⇨Buyに変更、それ以外はSellです)