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トランプ減税で資本コストは下がる?

米国株について言及しているブログは貴重ですので、いくつか愛読させていただいています。

その中の一つ、「配当金を雪だるま式に増やす投資日記」 さんで気になる記述がありましたので、ちょっと考えてみたいと思います。

 

dividendsnowball.blogspot.jp

 

減税(法人税率と所得税率)により、企業利益が投資家の手に入る間に入っていた税金がなくなるので、企業の利益率が上がる。つまり、投資リターンの改善・資本コストが低下する、というロジック。

資本コストの低下は株価のアップ要因であると。

 

私の解釈では、リスクフリーレート(国債長期金利)が上昇して、ベータ値が下がって、資本コストトータルが下がるということだと理解。ベータ値が下がるということはボラティリティが低下する、ということだ。

 

 ヘッジファンドマネージャーの堀古氏の発言の引用として、減税によって資本コストが下がるとあります。

 

これはどういうことでしょうか?難しい論点ですので、ちょっと詳しく考えたいと思います。

 

まず、資本コストとは何か?を説明します。

資本コストとは、企業の資金調達にかかるコストです。

企業は自己資本や借入金を元に事業を行っています。借入金のコストは支払利息と分かりやすいですが、自己資本もタダではなく、コストがかかります。

自己資本のコストとは株主の期待収益です。そもそも自己資本という言い方は欺瞞があって、企業は株主のものなので、自己資本=株主資本なのですね。

一般的な企業は株主資本と借入金をミックスして資本を調達し、事業を行っているので、企業の資本コストは株主資本のコストと借入金のコストの加重平均、WACC(Weighted Average Capital Cost)として計算されることが普通です。

 

ここで、株主資本コスト=リスクフリーレート+β×リスクプレミアムとして計算されます。

リスクフリーレートは最もリスクがない資産(国債)に投資した利率、

βは個別の企業特有のリスク、リスクプレミアムは株式市場のリスクです。

 

したがって前述したブログの「ベータ値が下がるから資本コストが下がる」というのは正しくありません。ベータは株式市場に対する個別企業のリスクですが、ここでは市場全体の話をしているからです。

 

リスクフリーレートは国債金利で計算されますが、法人税が減税されると、一般的には国債金利は上昇します。減税により国家の財政赤字が進行すると考えられるので、国家の財政に対する信任が落ちるためです。

では、リスクフリーレートが上がるならば資本コストは上がるのではないでしょうか?

僕も最初そう思いました。

 

僕の考えでは、ここで堀古氏はジョルゲンセン型の資本コストのことを言っています。

ジョルゲンセン型の資本コストは、設備投資を行うのに見合うだけのコストを意味します。法人税減税によって、設備投資を行うことで得られる税引後利益が増加するため、ジョルゲンセン型の資本コストは法人税減税により低下します。

しかしこの議論では減税による金利上昇が考慮に入っていないように見えます。

資本コストの定義が異なるのではないでしょうか?

 

教科書的で恐縮ですが、やはり僕はこのような考え方をしてしまいます:

減税によってリスクフリーレートが上昇するためWACCは上がる。

しかし減税により税引後利益が増加するのでROIC-WACC=EVAスプレッドが上がる。

したがって株価は減税により上昇する。この考え方は一つの面で正しいと思います。

 

どなたか、ジョルゲンセン型の資本コストとWACCをうまく接続する方法を示していただけませんでしょうか。僕はちゃんとした経済の教育を受けていないので、よくわかっていません。

 

以上、まとまりがなくてすみません。よろしくお願いします。

 

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